どこ主夫のインド映画レビュー「あなたがいてこそ(原題:Maryada Ramanna)」
みなさん、こんにちは。
第二回!インド映画レビューをしていこうと思います。
今回レビューするのは「あなたがいてこそ(原題:Maryada Ramanna)」。
あらすじ
ボロボロの自転車に乗り、うだつのあがらぬ暮らしをする主人公、ラーム。
そんな彼のところにある日、遺産相続の話が舞い込んでくる。
「相続した土地を売るぞ!」とウッキウキで故郷の有力者の屋敷へ向かうラーム。
しかし、その有力者の一家はラームの父親と殺し合いをしていたという因縁があった。
さらに、故郷へ向かう列車で仲良くなった女性、アパルナはその一家の娘で…
ラームは生きて屋敷から出られるのか?アパルナとの関係はどうなる?
「RRR」でおなじみマウリ監督の作品です。
監督の作品は「RRR」「バーフバリ」「マガディーラ」「ヤマドンガ」「マッキー」を視聴済ですが、どれも「闘い」をメインにしていたため、今回のようなラブコメは果たして面白いのか・・・?と思っていましたが…
結論から言うとめちゃくちゃ面白かったです!!!
ということでおもしろかった点をご紹介していきます。
良かった点①引き込まれる目の離せないストーリー
「屋敷を一歩でも出たら殺される」というシチュエーションが面白い。
敵の親玉が「屋敷の中で血は絶対に流さない」という謎のこだわりを持っているため、一家(というより事情を知っている親玉とその息子2人)は主人公を殺すために、あの手この手で外へ出そうとします。
主人公もそれを分かっているため、仮病を使ったり、挙式を行わせようとしたりと、あらゆる手段で家に居座ろうとします。
この双方のコミカルなやり取りに笑いが止まりませんでした。
そもそも屋敷の出口に刀やオノを持った用心棒みたいなのが何十人もいて、全員主人公を睨んでいるというシチュエーションがヤバすぎる🤣🤣
「ラーム危ない!!」「これどうなっちゃうの!?」とハラハラしながら楽しめます。
全編コメディではあるのですが、泣けるシーンもあり、最後はやっぱり「愛の力」で解決。良質なストーリーでした。
良かった点②「決して拳を使わない」主人公
マウリ監督の作品には「超人的な戦闘力を持つ主人公」がつきものだと思っていたのですが、今作の主人公は普通のおっさんです。
もちろん屋敷の人たちに対抗できる力もなければ、戦おうとすらしません。
そのため「主人公の強さに憧れる」といった気持ちになることはありませんが、
観る人は皆、彼に親近感を持つことでしょう。
何故なら彼は「誰もが共感できる主人公」だからです。
努力をしても報われず、理不尽なことばかり。
金もなく希望もない。
「なぜ僕が こんな目に」
そんな主人公を見て「これ私やん!!」となる人は多くいたでしょう。
私たちの代表のような彼が画面の中で奮闘するからこそ、ストーリーに入り込めるし、
全力で応援しながら楽しむことが出来るのだと思います。
逃げてばかりいた主人公が、最後に彼なりの「闘い」を見せてくれるところも良い。
私はこの作品を観て、ラームのことが大好きになりました。
ラーム役のスニールさんの演技も素晴らしい!!
良かった点③命の恩人は”しゃべる自転車”!?巧みな伏線回収
マウリ監督の作品にたびたび登場する「キーアイテム」。
「RRR」では「ラーマとシータのネックレス」
「ヤマドンガ」では「少女に渡されたペンダント」などなど・・・
それがなんと、今作は「しゃべるボロボロの自転車」です。
主人公の暮らしぶりを面白おかしくからかいながらも見守ってきた自転車。
けっこう愛着がわくキャラクターです。
しかし、主人公は自転車を整備する金もなく、使い倒した上にあっさり「寄付(廃品回収的な)」してしまいます。(自転車の声は聞こえていないようだし、仕方なくはある)
「いつか帰ってくるのかな?」と思いながら観ていましたが、、、
なんと自転車は、主人公が一番ピンチの時に、そして観ている人が忘れたころに、最高のタイミングで帰ってきてくれます。
こういった演出はマウリ監督の真骨頂ですね。
まさかボロボロの自転車に感動する日が来るとは思いませんでした。。。
今回のベストソング「Telugammayi」
くだらない絵だと からかうのはなぜ?
絵の奥にある真実を 見ないのはなぜ?
今作のベストソングはこれしかないでしょう。
ヒロインは趣味である絵描きを家族に笑われ、バカにされ続けてきました。
そんな彼女のことを尊重し、たたえる歌。
歌のシーンでのヒロインの救われた顔を見ると、涙が出てきます。
自分の生き方を認めてもらえることって何より嬉しいですよね。
この歌でヒロインは主人公に心奪われます。そりゃ奪われるよ!!
ボロ泣き不可避の名シーンです。今聴いても泣きそう。
おわりに
以上、レビューでした。
笑いあり涙ありの名作。どんな人にでもおすすめできます。
今作はインド映画にしては上映時間も2時間ちょいと短いため、初めてのインド映画にもうってつけです。
やっぱりラージャマウリ監督は創造神だった。
それでは今回はこの辺で!